Adachi Times

女性の一生を応援する、京都・足立病院グループのオウンドメディア。

乳がんの発生経過を世界で初めて明らかに 足立病院協力の京大研究がNatureオンライン版に掲載

あだちタイムス編集部

7月26日、京都大学の小川誠司 医学研究科教授、戸井雅和 同教授(現:東京都立駒込病院長)、西村友美 同特定助教、および垣内伸之 白眉センター特定准教授らを中心とする研究グループによる乳がんの発生過程についての研究論文が、国際学術誌Natureのオンライン版に掲載されました。本研究は、人体における最初の細胞変異の発生から、「乳がん」と診断されるまでの発症経過を世界で初めて明らかにしたもので、足立病院は患者様の検体を提供させていただいておりました。

研究グループは、すべての乳腺細胞には、思春期前後に単一のゲノム変異細胞が発生し、その後の変異の蓄積速度は女性ホルモン(エストロゲン)に依存していることを発見。30台前後までにその後乳がんを発症する原因となる細胞が発生することを明らかにしました。

また、乳腺の細胞に変異が起こる過程で女性ホルモンのエストロゲンが影響を与える可能性について示唆されました。閉経後は、遺伝子変異が蓄積する速度が3分の1まで低下していること、出産により変異の数が減ることも示しています。長い月経期間や少ない妊娠回数が、乳がんの発がんリスクを高めるという、これまでの知見を裏付ける結果でした。

乳がんに限らず、がんの発生起源から発症までの過程は今までよくわかっていませんでした。本研究は最先端のゲノム解析技術を駆使することで、世界で初めて解明に成功したものです。今後は、乳がんの発症予防や早期治療への応用が期待されます。

足立病院は、今後も引き続き、医学の発展のために貢献したいと考えています。

京都大学ウェブサイト記事
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-07-28

Natureオンライン版
https://www.nature.com/articles/s41586-023-06333-9

90
あだちタイムス編集部

あだちタイムス編集部です! わかりやすく、読みやすい記事をみなさまにお届けできるようにがんばります。