Adachi Times

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足立病院レポート

若い世代に知ってほしい! 乳がんと妊娠の深い関係 AYA WEEK ADACHI 2024 が開催

あだちタイムス編集部

AYA世代とがん

AYA世代という言葉をご存じですか? Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の略で、15歳から39歳までの世代を指します。実は、このAYA世代にとってがんは大きなリスクなんです。

がんには若年者が発症する小児性のものがあり、AYA世代は小児がんと成人がん、両方を発症する可能性があります。そして、15~39歳といえば、進学、就職、出産、子育てなど生活の変化が大きいイベントがたくさん。がんを発症してしまった場合、それぞれのライフステージに合わせた支援が医療だけでなく社会や家庭でも必要になってきます。当事者だけでなく、社会の幅広い層にAYA世代のがんについて知ってもらうことがとても大切なことなのです。

そんなAYA世代のがんについてみなさんに知ってもらうために毎年開催されているのがAYA WEEKです。今年は3月2日から10日までAYA WEEKに合わせて全国各地で様々なイベントが開催されました。足立病院と、グループの足立乳腺クリニックは、共同で今年はじめてAYA WEEKに参加。『AYA WEEK ADACHI 2024』として、乳がんと妊娠の関係についてのセミナーを御所の杜ほいくえんで開催しました。プロ演奏者によるクラシック演奏や人気のパティスリーのお菓子も提供され、和やかな雰囲気のセミナーとなりました。

ピアノとヴァイオリンによる迫力の生演奏

若年女性に多いがんは乳がん

京都市内の新生児の4人に1人が生まれる足立病院グループですが、産婦人科領域にとってもがんはもちろん無関係ではありません。実は、がんを発症するAYA世代の7割以上が女性。乳がんと子宮頸がんが多いためです。

セミナーの前半は足立乳腺クリニックの田中彰恵副院長が登壇。AYA世代の乳がんと治療の概要について説明しました。乳がんの罹患者数は30歳代から増えはじめるので、乳がん検診は30歳ぐらいから開始することをお勧めします。また、家族や親戚に乳がんや卵巣がん、膵臓がんの方が多い場合には、遺伝性乳がんの可能性を考えて、25歳ぐらいから開始を推奨します。

田中副院長

そして乳がんになってしまった場合、女性ホルモンを抑える内分泌療法や抗がん剤を使う化学療法がおこなわれますが、どちらも卵巣にダメージを与え、妊孕性(妊娠する能力)が低下します。しかし乳がんにり患しても必ずしも妊娠をあきらめなければならないということではありません。卵子や受精卵を冷凍保存し、乳がんの治療後に妊娠をめざす妊孕性温存治療が選択肢となります。

田中副院長は、乳癌の発症は妊娠中や授乳中でもありえるので、適切な治療と選択肢の温存のためにも乳がん検診や乳房のセルフチェックを、と呼びかけました。

乳がんになっても妊娠・出産をあきらめない

後半の担当は足立病院生殖医療センターの眞田佐知子副センター長。乳がん治療を完了した「乳がんサバイバー」のQOL(生きがい、人生の満足度などの生活の質)向上の一環としての妊孕性温存治療を紹介しました。

眞田副センター長

近年、がん治療によるダメージを受ける前に卵子や受精卵を保存する妊孕性温存治療は、がん患者のQOL向上の手段として捉えられるようになってきました。がん・生殖医療が急速に進歩し、かつてはがん治療によってあきらめなくてはならなかった妊娠出産に、可能性が残されるようになっています。

国の助成制度も開始され、経済面の負担も緩和。足立病院では足立乳腺クリニックをはじめとした他院と連携し、いままで117例の妊孕性温存治療を実施。そのうち23人が妊娠出産にいたっています。眞田副センター長は、AYA世代ががんと決して無関係ではないこと、そしてがんを治療しても、妊娠出産をあきらめなくていいことを幅広い人たちに知ってほしい、と結びました。

今後の予定

本セミナーは京都東ライオンズクラブ、京都岡崎白川ライオンズクラブ、京都うずら野ライオンズクラブ京都日吉ヶ丘ライオンズクラブの後援で開催されました。また、会場提供のお菓子とクラシック演奏は、それぞれgrains de vanille(グラン・ヴァニーユ)一般財団法人100万人のクラシックライブのご協力をいただきました。

足立病院では今後もみなさまによろこんでいただけるイベントを開催してまいります。各種SNSなどで情報を発信しておりますので、ぜひフォローをお願いいたします。また当日のセミナー内容は足立病院公式YouTubeチャンネルで配信予定です。チャンネル登録をしておまちください。

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